プロトアクチニウムとは? わかりやすく解説

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プロトアクチニウム【protactinium】

読み方:ぷろとあくちにうむ

アクチノイド属す放射性元素の一。単体灰色金属ウラン鉱石中から発見された。元素記号Pa 原子番号91原子量231.0。


プロトアクチニウム


物質名
プロトアクチニウム
英語名
Protactinium
元素記号
Pa
原子番号
91
分子量
231.03588
発見
1917年
原子半径(Å)
1.6


プロトアクチニウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/07 15:17 UTC 版)

トリウム プロトアクチニウム ウラン
Pr

Pa

Uqu
91Pa
外見
銀白色
一般特性
名称, 記号, 番号 プロトアクチニウム, Pa, 91
分類 アクチノイド
, 周期, ブロック n/a, 7, f
原子量 231.03588
電子配置 [Rn] 7s2 6d1 5f2
電子殻 2, 8, 18, 32, 20, 9, 2(画像
物理特性
固体
密度室温付近) 15.37 g/cm3
融点 1841 K, 1568 °C, 2854 °F
沸点 ? 4300 K, ? 4027 °C, ? 7280 °F
融解熱 12.34 kJ/mol
蒸発熱 481 kJ/mol
原子特性
酸化数 2, 3, 4, 5(弱塩基性酸化物
電気陰性度 1.5(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 1st: 568 kJ/mol
原子半径 163 pm
共有結合半径 200 pm
その他
結晶構造 正方晶系
磁性 常磁性[1]
電気抵抗率 (0 °C) 177 nΩ⋅m
熱伝導率 (300 K) 47 W/(m⋅K)
CAS登録番号 7440-13-3
主な同位体
詳細はプロトアクチニウムの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
229Pa syn 1.4 d α 5.58 225Ac
230Pa syn 17.4 d ε 1.310 230Th
β- 0.563 230U
231Pa ~100 % 32760 y α 5.149 227Ac
232Pa syn 1.31 d β- 0.31 232U
233Pa syn 26.967 d β- 0.571 233U
234mPa trace 1.17 min β- 2.29 234U
IT 0.0694 234Pa
234Pa trace 6.75 h β- 0.23 234U

プロトアクチニウム (: protactinium [ˌproʊtækˈtɪniəm]) は、原子番号91の元素元素記号Paアクチノイド元素の一つ。安定同位体は存在せず、すべてが放射性同位体である。

銀白色の金属で、常温、常圧で安定な結晶構造は正方晶系であるが、800℃程に加熱すると体心立方格子が最も安定となる。比重は15.37(理論値)、融点は1575 °C沸点は4000 °C(融点、沸点とも異なる実験値あり)。

空気中での酸化はゆるやか。酸に溶ける(やや難溶)。酸素、水蒸気と反応。酸素と反応すると表面が曇る。アルカリには不溶。展性、延性があり、化学的性質は、ニオブタンタルに類似する。安定な原子価は+5。

名称

α崩壊するとアクチニウムになる。アクチニウム(actinium)の元になるもの(proto)という意味で、1918年protoactinium と名づけられた。その後1949年protactinium に短縮された。

歴史

1871年メンデレーエフが91番元素として、その存在と性質を予言、エカタンタル (ekatantalum) と呼んだ[2]

当時はウラン崩壊の際に生じる核異性体のプロトアクチニウム234を偶然発見しただけであったが、その後1917年リーゼ・マイトナーオットー・ハーンがプロトアクチニウム231を発見した。

1961年には99.9 %純粋なプロトアクチニウムが作られるようになった。

用途

プロトアクチニウムは存在量の少なさと強い毒性のためあまり用途はない。しかし、ウラン235α崩壊の際に生じるプロトアクチニウム231は核燃料に使用されると思われる。現在、プロトアクチニウム231は海底沈殿層の年代測定に利用されている。

存在

プロトアクチニウムはウラン鉱に微量存在し、ウラン崩壊の際に極微量生成する。

同位体

プロトアクチニウムは29の同位体が存在が確認されているが、安定同位体は存在せず、すべてが放射性である。天然には4つの同位体が存在し、最も半減期が長いのがプロトアクチニウム231で、32760年である。この元素には、2つの核異性体 217mPa(半減期1.15ミリ秒)と 234mPa(半減期1.17)が存在する。

人体毒性

プロトアクチニウムは強い放射性と猛毒性を有し、プルトニウムアルファ線同等の強発癌性を有する。

プロトアクチニウムの化合物

出典

  1. ^ Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds Archived 2012年1月12日, at the Wayback Machine., in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
  2. ^ 桜井弘『元素111の新知識』講談社、1998年、368頁。ISBN 4-06-257192-7 

関連項目


プロトアクチニウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 04:23 UTC 版)

核分裂の発見」の記事における「プロトアクチニウム」の解説

ソディとカジミエシュ・ファヤンス(英語版)は1913年それぞれ独立に、アルファ崩壊起こした原子周期表上の位置2つ下げベータ粒子2つ失うことで元の位置に戻ることを発見した。この発見元に整理され周期表ではラジウムは第2族、アクチニウム第3族、トリウムは第4族、ウランは第6族に配置されトリウムウランの間に空白残ったソディはそこに入るはずの未知元素「エカタンタリウム(メンデレーエフ命名法ならって)」がアルファ放出体であり、化学的にタンタリウム(今でいうタンタル)と似ている予言した。それから間もなく、ファヤンスとオズヴァルト・ヘルムート・ゲーリング(英語版)が崩壊生成物であるベータ放射性トリウムの孫生成物発見した前述ソディ=ファヤンスの法則英語版)によるとこれこそ求め元素同位体であり、ファヤンスらは半減期短さ (brevity) から元素名を「ブレヴィウム」と決めた。しかしこの同位体ベータ放射性であり、周期表二つ下に位置するアクチニウム母核種にはなりえない。同じ元素同位体がほかに存在するはずだった。 ベルリンのダーレム(ドイツ語版)にあるカイザー・ヴィルヘルム研究所所属する2人科学者所在不明同位体探し出す課題引き受けたオットー・ハーン有機化学者としてマールブルク大学卒業した後にユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンウィリアム・ラムゼー卿の下で博士研究員勤め、さらにラザフォードのいるマギル大学放射性同位体研究した1906年ドイツに戻るとフリードリヒ・ヴィルヘルム大学エミール・フィッシャー助手になったマギル大学では物理学者との密接な共同研究慣れていたので、ここでもリーゼ・マイトナーチーム組んだマイトナー1906年ウィーン大学始まって以来二人目女性博士となり、ベルリン移ってフリードリヒ・ヴィルヘルム大学マックス・プランクから物理学学んでいた。控えめマイトナーにとって、同世代気さくなハーン年上錚々たる研究者のように縮こまらなくて済む相手だった。1913年ハーンマイトナー設立されたばかりのカイザー・ヴィルヘルム化学研究所移った。古い研究室放射性物質汚染され、弱い放射能調べるのに向かなくなっていたため、新しい研究室は研究チャンス広げてくれた。ハーンらはピッチブレンドからタンタル仲間分離する新し技術開発し、それによって効率よく新し同位体分離できることを期待した1914年勃発した第一次世界大戦によって研究中断させられた。ハーン召集されドイツ陸軍入隊しマイトナーオーストリア陸軍病院放射線看護師志願した1916年マイトナーはカイザー・ウィルヘルム研究所復帰したが、このころにはハーン以外にもほとんどの学生研究室助手技師召集されていた。ハーン休暇帰郷したときに短期間手伝うのを除けば何もかもマイトナー一人でやらなければならなかった。1917年12月までに物質分離成功しさらなる研究によって求めていた同位体であることが確かめられた。マイトナーはこの発見1918年3月投稿した。 この元素最初に発見したのはファヤンスとゲーリングだが、元素代表する同位体は最も長寿命存在比の高いものでなければならない慣習があり、ブレヴィウムは不適格思われた。マイトナー元素にプロトアクチニウムの名と元素記号Pa与え、ファヤンスも同意した1918年6月ソディとジョン・クランストン(英語版)は自分たちも同じ同位体抽出していたと発表したが、マイトナーのように性質突き止めるには至っていなかった。ソディらもマイトナー先取認め命名受け入れた既知ウラン同位体崩壊系列にプロトアクチニウムは含まれなかったため、ウラン新元素とのつながりは謎のまま残された。この謎は1929年ウラン235発見されたことで解消した

※この「プロトアクチニウム」の解説は、「核分裂の発見」の解説の一部です。
「プロトアクチニウム」を含む「核分裂の発見」の記事については、「核分裂の発見」の概要を参照ください。

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プロトアクチニウム

出典:『Wiktionary』 (2021/08/06 13:49 UTC 版)

名詞

プロトアクチニウム

  1. 原子番号 91元素記号 Pa金属元素アクチノイド属す放射性元素単体常温常圧では銀白色固体

語源

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